新型コロナウイルスの感染拡大を受け、令和2年4月2日(木)に挙行を予定していた令和2年度小樽商科大学入学式は中止することといたしましたが、理事長祝辞については、動画配信することといたしました。
新たな大学生活のスタートに際し、入学式を実施できないことは大変残念ですが、理事長のメッセージを受け取っていただければ幸いです。
小樽商科大学入学式 祝辞(2020年4月2日)
公益財団法人緑丘会理事長 島崎憲明
新入生の皆さん、小樽商科大学への入学おめでとうございます。
商大の同窓生組織であります緑丘会を代表して心よりお祝い申し上げます。
今年の入学式は新型コロナウイルスの感染拡大、北海道での緊急事態宣言という未曽有の事態を鑑みて、一堂に会しての式典は中止となりました。皆様にはビデオメッセージにてお祝いの言葉をお伝えします。
新入生の皆さんにおかれては、これから始まる小樽での学園生活に希望と期待に胸を大きく膨らませてこの場におられると思います。私は半世紀ほど前に入学しましたが、商大生であった4年間は卒業後の年月と比較しますと短い期間でありますが、大変充実した中身の濃い日々であったと思います。
商大の「実学」「語学」「品格」を重視した教育は、今も昔も変わらない本学の教育の特徴ですが、他の社会科学系大学と比べて、商大が誇れる強みは何でしょうか?
例を挙げれば、第一に、女性の一層の活躍が期待される今日において女子学生が4割以上を占めていること。
第二に、ベンチャーや起業・創業を後押しする大学院・アントレプレナーシップ専攻があること。
第三に、ゼミやクラブ活動が活発で充実していること。
第四に、留学生との交流や、充実した海外留学制度を活用して多様性を学び、国際性を身につける機会が多いこと、などが特徴であり強みだと思います。
小樽商科大学は、規模は小さいけれども、創立以来100余年にわたりグローバルな人材を北海道はもとより全国、海外に送り出してきました。この小樽のまちと共に歴史を刻んできた母校は、創立以来の伝統と精神をしっかりと守り、今日まで、チャレンジスピリットに富み、気骨溢れる有為な人材を育て、地元北海道はもとより全国、さらには海外に送り出してきました。
産業界はもとより、国内外のさまざまな分野での商大同窓生の活躍は、高く評価されているところです。
大学でどのようなことを学び巣立っていくのか、皆さんはどのようなプランを持っていますか?
先輩から2つほど助言をしたいと思います。
第一は、常に国際的視点を持って、課題を見つけ、それを解決する能力を磨いて欲しいということです。
今までよりも広い視点から物事を見て、多様なバックグランドを持つ人達との切磋琢磨を通じて皆さんの人間力を高める努力をしてください。軸足はこの北海道に置きながらも、国際的な動向にも強い関心を持って学園生活を送って頂きたいと思います。
道内で職を求める場合であっても、グローバルな視点を欠くことはできない時代になっており、今後は益々この傾向は強まるでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大は北海道の産業や経済にも大きな影響を与えつつあり、海外からのインバウンド観光や食を中心とした道産品の海外向け輸出などへのネガティブ・インパクトは深刻に懸念されるところです。北海道の産業・経済にとって、海外との交易や人的交流は必要不可欠なものとなっていること改めて認識してください。
皆さんには、深く考えて洞察する力、問題を発見する力、解決する力を磨いてほしいと思います。入学試験は過去問、すなわち、答えのある問題を解くことでしたが、今日から始まる学園生活では答えのない課題へ挑戦し、自身の頭で深く考えて課題の解決策を見つける、この経験を繰り返し積んで頂きたいと思います。
第二は、大学での4年間に、勉学に加え、これはという経験を積んで欲しいということです。
スポーツでも文化的なことでもよいのです、夢中になって打ち込んだ経験が社会に出てから大きな自信になり、様々な試練を乗り越える上での財産となるでしょう。
改めて申し上げますが、小樽商科大学の良さの一つは、小規模な単科大学であるがゆえに、学生、教職員、卒業生の一体感が強いということです。
この緑丘で培われた絆が、全国有数の同窓会組織である小樽商科大学同窓会「緑丘会」を核にして、社会に出た後も続いています。
この絆を維持し、更に高めるのは、皆さん一人一人が主役です。
これからの緑丘での学園生活を通して、皆さん自身が主体的に行動し、お互いに能動的な働きかけを行うことから始め、まずは、同級生同士の絆を深る努力をしてください。
それが年次や世代を超えた関係に発展し、広がっていくはずです。
皆さんは今、真っ白なキャンバスの前に立っています。
有意義な4年間を過ごし、自分自身の絵を思う存分描いてみてください。
最後になりますが、皆さんの前途を祝し、私の挨拶とします。