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北前船でひもとく 東アジアの交流 樽商大・高野研究員 台湾で講演 国際的な関心高く 「いずれ共同研究を」
北前船の研究や、遺産を活用した地域活性化に取り組む小樽商科大の高野宏康客員研究員(52)が、台湾・高雄市で6月に行われた国際フォーラム「北前船と台湾の海洋文化資産」に招かれ、基調講演を行った。北前船が国際的な関心を集める背景や、今後の研究への影響について聞いた。
-どのようなフォーラムだったのですか。
「台湾では今、東アジアの中の海のつながり、海洋文化への関心が高まっています。その一環として日本の北前船を学術的に取り上げようと、高雄師範大学と高雄市立歴史博物館などが主催し、関係者や一般の方も含め約150人が参加しました。熱心に質問する人も多く、関心の高さを感じました」
-講演の内容は。
「学会で発表してきた『北前船概念の再定義』について話しました。北前船は江戸時代のものという誤解が根強いですが、実際は江戸から明治にかけての近代に活躍し、和船だけでなく、西洋型の船や汽船を持つ北前船主も多くいました。特定の船の形や時代が北前船の本質ではなく、日本海を軸にした経済や文化、交流のあり方が重要です。江戸時代はむしろ日本海側が『表日本』で、そのネットワークが機能していました。それを再発見する手掛かりが北前船です」
-なぜ今、台湾の研究者が北前船に注目しているのですか。
「台湾では国際的な状況もあり、海を越えて何かを考えるのは難しかったのですが、北前船は現在から少し離れた時代のものになっているからこそ客観的に扱えます。東アジアが海でどうつながっていたのかを知るのに、いい視点です。台湾は東アジアで一番と言っていいくらい昆布食が盛んで、そのきっかけを作ったのが北前船でした。『面白そうな日本文化』として純粋に学術的な関心が高まっているのだと思います」
-新たな発見や今後の研究に与える影響は。
「日本の研究者が考えないような東アジアの視点に刺激を受けました。日本では、ロシアや樺太など北への関心はありましたが、南は盲点でした。小樽には、台湾の製糖会社に勤めた人が創業した菓子店があり、菓子文化に影響を与えていました。将来はロシアや韓国、中国とも共同研究をすべきです。北前船研究は郷土史から始まり、学問としての位置づけが弱い面もあります。研究を深め、北前船とは何かを捉え直したいと思います」(聞き手・矢崎弘之)
令和8年8月7日 北海道新聞デジタル D0610-9910-00002945
